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“状況に合わせて靴を選ぶように戦略も考える” アメリカ観光促進の女性チーフが語る仕事への向き合い方

2019.03.21.(木) 16:58

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全米を旅する音楽ドキュメンタリー映画「アメリカン・ミュージック・ジャーニー」が11月16日から新宿武蔵野館など約10館で上映される。アメリカの観光促進のために製作された映画で、そのPRのためブランドUSAのアン・マディソン戦略・コミュニケーション担当 チーフオフィサーが来日した。「この映画を見たら、これまでとは違ったアメリカの場所、音楽に触れたいと思ってもらえるだろう」と語る。マディソン=チーフオフィサーは、アメリカをPRするという壮大なプロジェクトの責任者として世界中を駆け回る一方で、家庭では2児の母でもある。今回のプロジェクトの話に加え、キャリアについて、仕事への向き合い方について聞いた。

ブランドUSAと今回の「アメリカン・ミュージック・ジャーニー」について教えてください。

アン・マディソン=ブランドUSA戦略・コミュニケーション担当 チーフオフィサー(以下、マディソン):ブランドUSAは2010年に誕生した、アメリカの観光促進を行う組織です。日本はアメリカにとって重要な市場で、創業時にはカナダやイギリスと共に日本にも拠点を作りました。マーケティング策として市場調査を行なっていますが、人が海外旅行の決め手とするのは、文化、音楽の体験です。特に日本は91%の人がその国の文化を楽しむことを望んでいます。今回の映画はアメリカの文化を音楽を通して発信することで、アメリカを感じてほしいと思っています。

音楽を通してどんなアメリカをアピールしていますか?

音楽は言葉を超えた言語で、感情を上手に伝えられます。旅をする人は、旅をする前、旅をしているとき、旅の後、常に音楽を感じ、その音楽が旅を思い出すきっかけになります。今回の映画の中では、日本人が期待していなかったような音楽のジャンルに触れられると思います。それはアメリカが移民の国で、さまざまな文化とバックグラウンドを持っているからです。「この場所にこんな音楽があるのか」と感じてもらえたらと思います。

目標の観客動員数は?

具体的な目標数値はありませんが、幅広い年代に、また家族旅行を考えている人に見てほしいと思っています。アメリカへは、現在毎年360万人が訪れてくれていますが、今後5年間で約5%増を目指しています。

ブランドUSAの仕事では世界中を飛び回っていますが、家族との関わり方に支障はありませんか?

働く女性のチャレンジや問題は日本だけではなくアメリカにもあります。私の場合、夫が家で仕事をしているのでフレキシブルに対応してもらえ、子どもが小さい時も分担ができました。今では子どもたちも20代になり、自分たちでできるので安心です。

日本の女性も活躍の場を広げていますが、その地位を得るためにしたことはありますか?

よくキャリアについてアドバイスを求められます。キャリアの中では、さまざまな局面で女性はがまん強く、そして状況に合わせた戦略が必要だと考えます。例えを挙げて言うならば、女性と靴は切っても切れない関係だと思いますが、速く走ろうと思うとスニーカーを履くだろうし、環境が厳しい場所に行くときはハイキングシューズやトレッキングシューズなどだと思います。時に、自信を見せるときは(内心では自信がなくても)ハイヒールを履いて背筋を伸ばす。あるいは、スニーカーを履いたとしても、それは一歩下がってそこからジャンプするためのときもあります。キャリアを積極的に追おうと思うと、そのペースにあったものを身につけることが重要だと思います。

キャリアにおけるターニングポイントは?

実は以前、転職した際、給料はそれまでの半分になりました。それまで営業を担当していましたが、本当にやりたかったことは広報やマーケティングだったんです。転職では給料が半分でもいいからやりたい仕事を選びました。その後、2つの異なる組織でマーケティングを経験し、次に広報も経験しました。給料は半額にはなりましたが、大きなステップになったと思います。

広報という多くの人に会う仕事をする上で、心がけているファッションは?

洋服を買うときに心がけていることは、自分の個性を反映させるということです。それから、快適であるということです。私自身の中身を反映させるものを選ぼうと思っています。ブランドでは選びません。ターニングポイントの話をしましたが、仕事を探して面接を重ねているとき、たいていはいわゆる“面接服”を着て、ヘアもアップにして行っていましたが、一番やりたい仕事の面接の時は、袖もきちんとある感じではない明るい黄色の服装で、髪も下ろして行きました。そういった意味でも、自分の個性に合った洋服を着たときに、成功が舞い降りてきたという感じです。

仕事において、心がけていることは?

アメリカの統計学者で著述家、講演者、コンサルタントであるW・エドワーズ・デミング(William Edwards Deming)博士の戦略をいつも念頭に置くということです。昔、お会いする機会もありその教えを実践しようと思いました。その教えとは、「完璧は存在しない」ということです。今行なっていることを常にチェックするーー。どのくらい進んだか、経過の中でチェックし、継続的に確認することが重要だという教えです。ブランドUSAとして戦略を立て、見直しながら実践する。さらには次の戦略が続き、見直し、実践する。終わりがあるわけではなくエンドレスで、そして完璧は存在しません。

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